早めの治療が重要です

監修:オリンピア眼科病院 神前 あい 先生
伊藤病院 渡邊 奈津子 先生
  

発症から早いうちに治療を始めることが重要です

甲状腺眼症では、眼の周りの組織で炎症が起こることによりさまざまな症状が現れ、炎症の進行とともに症状が悪化する時期が6~24ヵ月ほど続きます1)。この時期を活動期といいます。その後次第に炎症は鎮静化し、1年あるいはそれ以上かけてゆっくりと改善していきます。この時期を非活動期といいます2)

非活動期には炎症の鎮静化とともに組織の腫れは治まってきますが、その過程で組織が固く線維のようになる線維化が起こることがあります。線維化が起こってしまうとその状態を根本的に改善することは難しくなるため、炎症がある時期に治療を始め、炎症の程度をできるだけ抑えることが重要です(図)2)

バセドウ病の患者さんは、眼の異常に気づいたらすぐに医師に相談しましょう。甲状腺眼症はバセドウ病に関連する病気ですが、眼の症状に対してはバセドウ病とは異なる治療が必要です。また、バセドウ病でない方では、眼科を受診して経過観察されていることもあるかもしれません。眼の違和感が続く場合や、眼が出てきたなどの症状に気づいたら、医師に詳しく症状を伝え、専門医を紹介してもらいましょう。
図:甲状腺眼症の症状の経過と早期治療の重要性
  
  • Wang Y, et al. Ther Clin Risk Manag 2019; 15: 1305-1318
  • 日本甲状腺学会・日本内分泌学会 編集: 甲状腺眼症診療の手引き メディカルレビュー社, 2020