どんな症状が出る?1)

監修:オリンピア眼科病院 神前 あい 先生
伊藤病院 渡邊 奈津子 先生
  

甲状腺眼症では、アレルギーのような症状から視力低下まで、さまざまな症状が現れます

甲状腺眼症では、患者さんごとにさまざまな眼の症状が現れます。主なものとして以下のような症状があります。
  • ドライアイ、眼がゴロゴロする感じ
  • 異物感、眼に何かが入っているような感じ
  • 過剰に涙が出る
  • 眼の充血
  • 眼の痛み、圧迫感
  • 光を異常にまぶしく感じる
  • ものがかすんで見える
  • 左右の眼の位置がずれる(斜視)
  
  
  • ものが二重に見える(複視)
  
  • 眼の突出(眼球突出)
眼の突出(眼球突出)
眼の突出(眼球突出)
  • まぶたの引きつれ(眼瞼後退)
まぶたの引きつれ(眼瞼後退)
まぶたの引きつれ(眼瞼後退)
  • まぶたの腫れ(眼瞼腫脹)
まぶたの腫れ(眼瞼腫脹)
まぶたの腫れ(眼瞼腫脹)
  • 色覚異常
  • 視力低下、視野の欠け
なかでも多いのがまぶたの引きつれ(眼瞼後退)で、約9割の患者さんでみられます。まぶたが後退すると眼が閉じにくくなり、ドライアイや角膜の障害(眼の痛み、違和感、充血など)につながります。また、黒目の上下に白目が見えるようになり、常に眼を見開いたような表情になります1,2)
次に多いのが眼の突出で、約6割の患者さんでみられます。眼の突出も眼の閉じにくさやドライアイ、顔つきの変化につながります1,2)
約5割の患者さんでは、ものが二重に見える症状(複視)が現れます。これは眼を動かす筋肉の運動が障害されることによるもので、日常生活に大きく影響します1,3)
さらに、6~9%の患者さんでは腫れた筋肉により視神経が圧迫され、色覚異常、視力の低下、視野の欠けなどが現れることがあります。視力の低下を自覚しないのに色覚の異常(色が薄くなった、白っぽくなったなど)を感じる場合もあります。放っておくと失明につながることもあるため、緊急の治療が必要となります1,4)
  • 日本甲状腺学会・日本内分泌学会 編集: 甲状腺眼症診療の手引き メディカルレビュー社, 2020
  • Wang Y, et al. Ther Clin Risk Manag 2019; 15: 1305-1318
  • Terwee C, et al. Eur J Endocrinol 2002; 146(6): 751-757
  • Bartley GB. Trans Am Ophthalmol Soc 1994; 92: 477-588