どのような人に多い？
監修：オリンピア眼科病院 神前 あい 先生
伊藤病院 渡邊 奈津子 先生
伊藤病院 渡邊 奈津子 先生
たばこは発症のリスクを高めます
たばこは発症の大きなリスク因子です。たばこを吸う人では吸わない人に比べ、甲状腺眼症の発症リスクが2～8倍高まることが報告されています1,2）。
バセドウ病の患者さんで多く発症します
甲状腺眼症の患者さんのうち80～90％は甲状腺の機能が亢進する病気（甲状腺機能亢進症）を伴っています3,4）。甲状腺機能亢進症の代表的な病気としてバセドウ病があり、バセドウ病の患者さんの25～50％が甲状腺眼症を発症します3）。また、甲状腺機能亢進症の発症年齢が10歳上がるごとに、甲状腺眼症の発症リスクが17％増加することが報告されています5）。
一方、甲状腺眼症の患者さんの10～20%で、甲状腺の機能は正常、または低下していることもあります3,4）。甲状腺に対する自己抗体、特に甲状腺刺激抗体が高い場合は眼の症状が悪化しやすいといわれていますので、甲状腺機能だけではなく、自己抗体の推移にも注意が必要です。
40歳以降で、女性に多く発症します
甲状腺眼症は男性より女性で多くみられ、日本における発症率は1年間で人口10万人あたり、女性で10.1人、男性で4.08人と報告されています3）。また、発症年齢は女性、男性とも2つの年代で多く、女性では40～44歳と60～64歳、男性では45～49歳と65～69歳に多いことが分かっています1）。
そのほか、近年では血中コレステロール（総コレステロール、LDLコレステロール）が高い人でも発症しやすいことが報告されています6）。また、アレルギー、ストレス、感染症なども発症のリスク因子としてあげられますが、詳しいことは分かっていないのが現状です1）。
そのほか、近年では血中コレステロール（総コレステロール、LDLコレステロール）が高い人でも発症しやすいことが報告されています6）。また、アレルギー、ストレス、感染症なども発症のリスク因子としてあげられますが、詳しいことは分かっていないのが現状です1）。
- 日本甲状腺学会・日本内分泌学会 編集: 甲状腺眼症診療の手引き メディカルレビュー社, 2020
- Prummel MF, et al. JAMA 1993; 269(4): 479-482
- 廣松雄治、他: 診断と治療 2023; 111(5): 623-627
- Bartley GB, et al. Trans Am Ophthalmol Soc 1994; 92: 477-588
- Khong JJ, et al. J Clin Endocrinol Metab 2016; 101(7): 2711-2720
- Sabini E, et al. Thyroid 2018; 28(3): 386-394