高額療養費制度について

監修:オリンピア眼科病院 神前 あい 先生
伊藤病院 渡邊 奈津子 先生

高額療法費制度を利用すると、ひと月の医療費の自己負担額を一定額以下に軽減することができます

甲状腺眼症の治療を続けていると、高額な医療費が必要となることがあるかもしれません。そのような場合に経済的負担を減らすための制度として、「高額療養費制度」があります。
高額療養費制度とは、病院や薬局で支払った金額がひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額の払い戻しが受けられる制度です。
たとえば、医療費が100万円で、自己負担額が30万円(3割負担)、70歳未満で年収が約370万~770万円の方の場合、高額療養費として212,570円が支給され、実際の自己負担額は87,430円となります。

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ
(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)(2024年7月閲覧)

自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。
70歳未満の場合

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ
(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)(2024年7月閲覧)

1回の受診での自己負担額が上限額を超えない場合でも、複数の受診について1ヵ月単位で合算した自己負担額が上限を超えていれば、高額療養費の支給対象となります。ただし、70歳未満の方では、合算できる自己負担額は1回21,000円以上である必要があります。
70歳以上の場合

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ
(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)(2024年7月閲覧)

70歳以上の方では1回の自己負担額にかかわらず、複数の受診について自己負担額を1ヵ月単位で合算することができ、それが上限を超えていれば高額療養費の支給対象となります。また、70歳以上で年収が一定以下の方では、外来のみの上限額も設けられています。

負担がさらに軽減されるしくみもあります

①世帯合算
同じ世帯で同じ医療保険に加入している複数の方が医療機関を受診した場合、それぞれの自己負担額を1ヵ月単位で合算することができ、それが上限額を超えた場合は超過分が高額療養費として支給されます。ただし、共働きの夫婦などで別々の医療保険に加入している場合は合算できません。また、70歳未満の方では、1回21,000円を超える自己負担額のみが合算対象となります。
②多数回該当
直近12ヵ月以内に3回以上、高額療養費制度を利用した場合は、4回目から「多数回該当」となり、さらに引き下げられた上限額が適用されます。
70歳未満の場合
70歳以上の場合

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ
(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)(2024年7月閲覧)

③付加給付制度を組み合わせる
付加給付制度とは、1ヵ月の医療費の自己負担限度額を超えた金額の払い戻しが受けられる制度です。自己負担限度額は、ご加入の健康保険組合によって異なります。高額療養費制度を利用してもまだ高額な場合に組み合わせて利用できます。

支給の対象、申請期間が決まっていることに注意しましょう

高額療養費制度の支給の対象となるのは、保険が適用される診療にかかった医療費のみです。入院時の食費や差額ベッド代、保険が適用されない先進医療の費用などは対象とされないことに注意が必要です。また、支給の申請は、高額療養費にあたる診療を受けた月の翌月から2年以内に行う必要があります。
受診してから高額療養費が支給されるまでには、少なくとも3ヵ月程度かかります。もし窓口での支払いに困難がある場合は、加入している医療保険に「限度額適用認定証」などの交付を申請し、医療機関の窓口でそれを提示することで、窓口での負担を上限額に抑えることができます。詳しくは加入している医療保険に問い合わせてみるとよいでしょう。
  • 厚生労働省: 高額療養費制度を利用される皆さまへ(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)(2024年7月閲覧)
  • 厚生労働省: 高額療養費制度を利用される皆さまへ
    (https://www.mhlw.go.jp/
    content/000333279.pdf)(2024年7月閲覧)